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【レビュー:本】若き友人たちへ ―筑紫哲也ラスト・メッセージ
- 2010-02-17 (水)
- 本
タイトル:若き友人たちへ ―筑紫哲也ラスト・メッセージ
著者:筑紫哲也
出版社:集英社新書 515B
私の尊敬するジャーナリストの一人、故 筑紫哲也さんの、主に早稲田大学大学院および立命館大学大学院での講義集です。
私はテレビを見ないので、キャスターとして出演されていた番組は見たことがないのが非常に残念です。
今思えば、その為だけにテレビを見ることもできたはずなのに。
戦中戦後の激動の時代を生き、その視点は哲学的な風味を帯びて非常に説得力のある論を展開した筑紫さん。
講義集ということもあり、文章は口語体で非常に読みやすい本になっています。
しかしその内容は読みやすさとは裏腹に、興味深い考察に富んでいて、どれをピックアップして紹介しようか本当に迷うのですが、筑紫さんの思考のエッセンスが凝縮していると思われる部分を紹介させていただきます。
本書の中で私がとても惹かれたのは”知の三角形”という考え方です。
私は常々、知識と経験について、Knowledge × Experience = Intelligence という式が成り立つと考えているのですが、これをさらに深く掘り下げたのが筑紫さんの言う知の三角形なのだと思いました。
それは、知というのはInformationとKnowledgeとWisdomから成り立っているという考え方で、Informationの入力にたいしてKowledgeで判断し、Wisdomによって最終判断を下すという概念です。
筑紫さんは、現代の情報化社会ではInformationの量が多すぎて三角形のバランスが崩れていると指摘します。
ピラミッドの最上部だけが異常に肥大していて頭でっかちになっていると。
これを解消するためにKowledgeとWisdomの部分を拡張しなければならず、その方法については本書に分かりやすく提示されています。
プッシュ型メディアから他律的に情報を得るのではなく、この知の三角形を活用して、自律的に物事を考えることが、情報化時代の護身術であると本書では述べています。
この現代で話題にされる様々なトピックに対して、独自の視点で問題点を指摘し手いる本書は、現代社会を考えるための入り口として有効な良書だと思います。
また、トピック自体は現代のもので、今後どのくらいの期間で風化するかわからないものですが、その根底に流れる思考の手法やジャーナリストの哲学とでも言いましょうか、筑紫さんの視点というのは、いつまでも活かされるべきものだと思います。
私の筑紫さん贔屓もあるのかも知れませんが、文句なくお勧めの一冊です。
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