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小説

【レビュー:本】イニシエーション・ラブ

タイトル:イニシエーション・ラブ
作者:乾くるみ
出版社:文藝春秋(文春文庫)

知り合いの女の子から勧められた小説。
あまりコテコテの恋愛小説は読まないんですが、これはハマッた。

乾くるみと言えば推理作家なので、ミステリ仕立ての恋愛ものかと思ったらこれがまたコテコテのラブストーリー。

ただ、恋愛の美しい面だけではなく、嫉妬や裏切り、倦怠など、恋愛のダークサイドとも呼ぶべきところも(表面的にではなく)しっかりと描写しているのが、流行り物のラブストーリーとは一線を画すところですかね。
恋愛の描写については、物語としてはつまらないと感じるくらいにリアルです。

再読必至というキャッチが付いていたのですが、本当にその通り。

最後の最後で”アレッ!?”となります。
そしてもう一度読み直して、”ああ、そういうことか。”となる。

ミステリ作家が本気で恋愛小説を書くとこうなるのか、と思わせる作品です。

舞台はバブル絶頂期の静岡と東京。
ヒロイン”マユコ”と主人公”鈴木(たっくん)”のお話。

この作品にどんな感想を持つか、それは様々だと思います。
単に恋愛小説としてみれば、陳腐でありふれた物語。
かといってミステリとは呼べない。

しかし、これは、文句なしにお勧めです。
群像劇ではなく、一組のカップルを描いた恋愛小説なのにこの仕掛けを…というのが本書の最大の価値でしょう。

【レビュー:本】クローズド・ノート

タイトル:クローズド・ノート
作者:雫井脩介
出版社:角川文庫

今更感があるが、軽い気持ちで読んでみた。
万年筆ファンとして、昨今のブームの火付け役となったこの本に、それなりの期待はしていた。

前半部分は、万年筆を中心に物語が展開していくのだが、登場する万年筆は高級モデルがメイン。
主人公の女の子が愛用しているのがデルタのドルチェビータ・ミニ。2009年3月現在、定価60,900円というもの。
また、主人公のバイト先の先輩もミニ・オプティマ(定価50,400円)と…

しかもヴィスコンティのファン・ゴッホとか出てくるし。。。

万年筆の買い方とか、かなり詳細に描写されているので、これを読んで万年筆が欲しくなる人が増えたのも納得。

物語としては、まず万年筆、日記、絵がキーのよう。
ただ、万年筆で書かれた日記が登場するのだから、文字のインクの濃淡や色、筆跡などを、もっと心理描写に活用しても良いんじゃなかろうか。
万年筆は独特の筆跡がある筆記具なのだから。
後半になるとノートの主が万年筆で日記を書いていたことを忘れてしまうくらいに、描写が少ない。

単純に恋愛小説として書かれたものであれば、前半の万年筆に対する詳細な描写は無駄なボリュームがある。
その代わり、最後のシーンにもっと枚数を割いて詳細に書いて欲しかった。

なんとなく、登場人物それぞれのストーリーに竜頭蛇尾な感の残る小説。
恋愛小説としてはストーリーも心理描写もありきたりで、ありふれたもの。
万年筆小説(そんなジャンルはないが)としては万年筆の世界を十分に活かしているとは思えない。
ただ、万年筆を知らない人に、その良さを知るきっかけとして読んでもらうには最適だろう。

あとがきを読んで知ったのだが、作中に出てくる女性教諭の日記は実在しているらしい。
その日記を元にしたという着想が斬新なだけに、なんとなく中途半端なストーリーが非常にもったいない。

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